JCSS分銅と基準分銅

分銅

天びん・はかりの校正には分銅を用います。お客様からの分銅に関するお問い合わせもたくさんいただいております。そこで「天びんの原理」の中で、分銅に関する豆知識もご紹介いたします。

分銅にも用途により違いがあるのをご存知でしたか?今回はJCSS分銅と基準分銅のお話です。

●JCSS分銅とは?

JCSS分銅という名称をよく使いますが、これは、JCSSロゴマーク付校正証明書のついた分銅ということです。JCSSとは「Japan Calibration Service System」の略で、「JCSS登録・認定事業者」だけが、このマーク付きの校正証明書を発行できます。

「JCSS登録・認定事業者」とは、独立行政法人 製品評価技術基盤機構(通産省が前身)の厳格な審査を合格してはじめて登録・認定される事業者です。島津製作所は質量の分野で、日本では民間で最初にこの認定を受けています。
JCSS校正証明書には有効期限がありません。目安として1年に1回の校正をお勧めしていますが、使用者が品質を確保するために、校正周期をきめます。

よくお客様から、トレーサビリティ証明書と校正証明書をセットでというご要望を受けますが、この分銅にはトレーサビリティ証明書は基本的には、不要です。なぜなら、このマークこそが、国家標準とトレーサビリティがとれているという証だからです。お客様はこの分銅を基準に、自社内で、ISO-9000やGMP,GLP等における国家標準とのトレーサビリティ体系を構築することができます。

●基準分銅とは?

基準分銅は、取引・証明に使うはかり(特定計量器)の検定や検査に使う分銅です。国立研究開発法人産業技術総合研究所(旧計量研究所)及び、都道府県の計量検定所が基準器検査を行い、基準器検査書を発行しています。ユーザによっては以前はこれを天びん・はかりの校正に用いてきたところも多数ありました。

ところが、平成5年の計量法改正により、一般の事業所は基準分銅の基準器検査は受けられなくなり、受けられるのは、はかりメーカ、検定所・検査所と計量士に限られることになります。一般の事業所では校正証明書のついた基準分銅は持てなくなったということです。

現在は、JCSS分銅がトレーサビリティに使える、国家標準とのトレーサビリティが証明された校正証明書付きの分銅ということになっています。