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「HPLCによる医薬品中陰・陽カウンターイオンの分析法について」
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医薬品開発において,API(Active Pharmaceutical Ingredients )の薬剤としての性質を変えるものとして様々な塩の形成が検討されており,薬剤化合物の対となるイオン(カウンターイオン,対イオン)の選択が注目されています。 医学的な治療に用いられている全薬剤分子の50%はイオン性の化合物で塩の形態であると言われています。1) カウンターイオンの違いにより,薬剤としての物理化学的(溶解性,結晶性,吸湿性)・薬物動態的(バイオアベイラビリティ,剤形)な性質が変わるため,医薬品開発においてそれらを制御する目的で,様々なカウンターイオンが評価されています(参照下図)1) 2)。
 図1 USP2006におけるイオン性薬物の主要なカウンターイオンの種類1)
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一般的にこれらカウンターイオンを分析する手法として,イオンクロマトグラフィー(IC)やキャピラリー電気泳動等が用いられています。 ここでは,医薬品中陰・陽カウンターイオンの分析法として,高速液体クロマトグラフィー(HPLC) とイオンクロマトグラフィー(IC) による分析例をご紹介します。
HPLCを用いる場合は,親水性相互作用クロマトグラフィー(Hydrophilic Interaction Chromatography:HILIC*)により陰・陽カウンターイオンの同時分析が可能で,イオン種のスクリーニングに有効です。 一方ICの場合は,陽イオンと陰イオンはそれぞれに最適なカラムや条件で分析する必要がありますが,高感度で分析できます。不純物として含まれる微量イオンまで分析できます。
(*Hydrophilic Interaction Chromatographyは,従来から順相クロマトグラフィーとも呼ばれています。)
1)Loken Kumer , Aeshna Amin , Arvind K.Bansal , Pharmaceutical Technology March 2, 2008
2) Marie-Josee Rocheleau , Current Pharmaceutical Analysis , 4 , 25-32 , 2008
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陰・陽カウンターイオンの同時分析

イオン性薬物のカウンターイオンによく用いられる陰イオン6種,陽イオン4種を同時分析したクロマトグラムを示します。 多孔質ポリマー基材に両性イオン型官能基を化学結合させたカラムを用い,グラジエント溶離法で分離条件の最適化を図ったため,各種イオンを高分離で検出できました。
 図2 カウンターイオンの一斉分析
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また,本分析法を用いた各種製剤(デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠,エナラプリルマレイン酸塩錠,ジクロフェナクナトリウム,アスパラギン酸カリウム)の分析例を示します。 各製剤は水にて溶解後,50%(v/v)アセトニトリル水溶液にて希釈して分析しました。 様々な製剤のカウンターイオンの定量に本同時分析法が適用できました。
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 図3 各種製剤の分析例
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イオンクロマトグラフィーによるカウンターイオンの高感度分析

イオンクロマトグラフ Prominence HIC-NS を用い,エナラプリルマレイン酸塩錠のカウンターイオンを分析した例を示します。 検出にはノンサプレッサ方式による電気伝導度検出器を用いました。 より高感度で,カウンターイオンを検出できました。 酢酸,ぎ酸,アンモニウムイオンなど揮発性イオン種については,同時分析法では検出器原理上検出できないので,イオンクロマトグラフで行う必要があります。
 図4 エナラプリルマレイン酸塩錠の分析例
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イオンクロマトグラフィーによる不純物無機イオンの分析

製品の溶解性や安定性に影響を及ぼす可能性があることから,開発段階では,触媒やイオンなどの無機不純物が開発した製剤に残留していないか確認することがあります。 医薬品に不純物として含まれる微量イオンもカウンターイオンと同様に,イオンクロマトグラフィーを用いて高感度に分析することが可能です。
模擬試料として,無機イオンを添加したジクロフェナクナトリウム標準溶液(7種の陰イオンを各 0.2 mg/L添加)とトラゾドン塩酸塩標準溶液(6種の陽イオン各 0.2 mg/L添加)の分析例をご紹介します。 ジクロフェナクナトリウム標準溶液(添加なし試料)では、約0.06 mg/L相当という極微量の硝酸イオン(NO3)が検出できています
 図5 ジクロフェナクナトリウム水溶液の分析例 (陰イオン各0.2 mg/L添加)
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 図6 トラゾドン塩酸塩水溶液の分析例 (陽イオン各0.2 mg/L添加)
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