CFRPの3点曲げ衝撃試験【参考規格 JIS K 7084:1993】

はじめに

強くて軽い材料として、近年、炭素繊維強化プラスチック(Carbon fiber reinforced plastics:CFRP)が注目されています。今までは、コストや生産性、リサイクル性に優れない熱硬化性樹脂を用いたCFRPが主流でした。そのため、航空機以外の輸送機にはほとんど使用されていませんでした。しかし、ここ数年で、熱可塑性樹脂を用いたCFRP関連の技術が一気に向上したため、上記デメリットの問題解決が進んでいます。今後、量産車にCFRPが使われる可能性は高く、そのための材料評価は必須になってきます。JIS K7084では重錘を自由落下させる試験機を規定していますが、ここでは接触時に速度低下の少ない高速パンクチャー衝撃試験機を利用して測定を行いました。

測定・治具など

3点曲げ模式図

Fig.1 3点曲げ模式図

JIS K7084では、圧子の半径は5mm、支持台の半径は2mmと設定されています。試験速度は、3.8m/sです。試験片の標準寸法は次のように定められています。

長さ(l) = 80 ± 1 mm
幅 (b) = 10 ± 0.2mm
厚さ(h) = 2 ± 0.2 mm

標準寸法の試験片を用いて試験を行う場合、支点間距離(L)は60±0.2mmとなります。JIS K 7084では試験力センサの精度が試験力値の±5%、サンプリングタイムが10μs 以下と指定しています。本システムでは100N 以上の試験で試験力センサの精度を満たしています。また,サンプリングタイムは最大で1μsまで可能です。

測定結果

Fig.2 高速3点曲げ衝撃試験評価装置系

Fig.3 試験力-変位線図

[ Table 1 試験条件 ]

項目 設定値
試験速度
ロードセル容量
3.8 m/s
10 kN

 

※試験開始直後、ノイズが少し大きくなっている理由は堅いもの同士の衝突であるためです。振動ノイズを押さえるには、支点上と圧子下に緩衝材を置くことが有効です。Fig.3は緩衝材なしの試験結果です。

CFRPの3点曲げ衝撃試験システム

試験機 HITS-P10  (本製品は販売終了品です)
ストライカ ø20
試験治具 3点曲げ試験治具
ソフトウェア 高速衝撃試験ソフトウェア

特長

  • 高精度ロードセルを採用(高精度形は0.5級,標準形は1級)
    100%レンジでは、レンジフルスケールの±0.5%以内、50、20%レンジでは、レンジフルスケールの±1%以内の高精度ロードセルを採用。
  • 試験速度範囲
    1~20m/sの広範囲で試験可能です
  • 高速サンプリング
    最高1μsの高速サンプリングで、高速衝撃試験に対応しています。
  • オペレーションソフト高速衝撃試験ソフトウェア
    直感的でわかりやすいユーザインターフェイスとなっています。ほぼ、マニュアルなしに操作できます。
  • 様々な治具
    パンクチャー試験治具(標準品)は、n数の多い試験に対応し、サンプル交換、セッティングを容易にした専用の治具です。
    また、治具を取り替えることで、様々なアプリに対応できます。